編集長のたんです。
私のOpenclaw「养龙虾(ヤンロンシャー)」日記も、いよいよ今回で完結です。
前回、優秀すぎる司令塔「Claude(クロード)」に仕事を丸投げし、快適なコンシェルジュ生活を満喫していた私ですが……管理画面の残高を見て血の気が引きました。
私のOpenclaw「养龙虾」日記②
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迫り来る「トークン破産」と、最強のローカルサーバー
会話履歴(コンテキスト)が雪だるま式に膨れ上がる「トークン爆発」という罠にハマり、チャージしたお金がマッハで溶けていたのです。
このままでは自己破産です。どうしたものか……と頭を抱えていたとき、ふと身近な存在を思い出しました。
妻が仕事で日常的に使っているあの「RTX 4090搭載のマシン」です。

RTX5090時代となった今では型落ち感もありますが、VRAM 24GBを積む「まだまだ現役」の頼もしい愛機です。
少し昔の話ですが、
実は今から約3年前、Midjourneyなどのクラウド画像生成AIが登場した時、私はものすごい衝撃を受けました。しかし同時に、コンセプトアーティストという職業柄、「自分の絵やプロンプトが学習データにされるリスク」や「著作権の不透明さ」に強い危機感を抱きました。
そこで、外部にデータが一切漏れない安全な「ローカル生成環境(Stable Diffusion WebUI)」をいち早く自宅のホームネットワーク上に構築したのです。
結果的に、この我が家のセキュアなAI拠点は、妻の会社の迅速なAIシフトに貢献し、今も現役バリバリで稼働し続けています。
API代(トークン消費)に怯えなくていい、この「まだまだ現役」のローカルマシン。これを私のエージェントの「タダ働き脳」として使わない手はありません。
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昼は画像生成、夜は「タダ働き脳」の二毛作エコシステム
しかし、ここで問題があります。
「妻の画像生成」と「私のエージェント用LLM」を同時に動かすことはできません。なぜなら、AIの処理は「VRAM(ビデオメモリ)」という24GBの領土の奪い合いだからです。同時に重い処理を走らせれば、VRAMがパンクしてPCがフリーズしてしまいます。
そこで私は、Tailscale(仮想プライベートネットワーク)を用いて、この4090マシンを「自分専用のセキュアなAPIサーバー(プライベートクラウド)」に仕立て上げることにしました。
日中は妻のローカルワークステーションとして稼働し、夜間は私のMacからネットワーク経由で安全に叩ける「タダ働きクラウド」へと切り替わる、完璧なハイブリッド環境の完成です。
OpenClaw(エージェント管理ツール)から、深夜だけこの自家製サーバーに接続し、マシンスペックに合わせてオープンソースのLLMを呼び出す設定を完了。
「よし、これでAPI代ゼロの環境が完成したぞ……!」

そう意気込んでチャットを打ち込んだ瞬間、またしても罠が待ち受けていました。
小さなトラブルその③:欲張ってグラボが火を噴く(OOMエラー)
ローカルならタダだと思い、「どうせなら巷で話題の、一番巨大で優秀なモデル(70Bクラス)を動かしてやろう!」と欲張って設定を書き換えました。
すると数秒後、別室にあるマシンの冷却ファンが「ブゥォォォン!!」とジェット機のような爆音を立てて回り始め、そのまま画面が暗転。「Out of Memory(OOM:メモリ不足)」という無慈悲なエラーを吐いて沈黙しました。
RTX 4090のVRAMは24GB。70Bクラスの超巨大なモデルを動かすには、とてもではありませんがVRAMが足りません。「いくらタダでも、自分のマシンの胃袋(VRAM)の限界を超えたものは食えない」という、ローカルLLMならではの洗礼を受けた瞬間でした。
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API料不要!4090で複数エージェントを召喚してみた
気を取り直して、24GBのVRAMにすっぽり収まる「軽量かつ高速なモデル(Qwen2.5-32Bなど)」をセットアップしました。
ここで一つの疑問が浮かぶかもしれません。
「ローカルモデルと、クラウドのAPI(ChatGPTやClaude)って結局どっちがいいの?」
実際に、クラウドAPIの同等クラス(速度とコスト帯が近い Claude 3.5 Haiku 相当)と、RTX4090で動かせる限界クラスのローカルモデル(32B前後)を比較テストしてみた結果がこちらです。
| 項目 | API版(クラウド) | RTX 4090 (ローカル版) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 賢さ(推論力) | ◎ 完璧な論理展開 | ◎ 圧縮されても遜色なし | (※ほぼ同等に賢い!) |
| 生成スピード | ◎ 人間のタイピング速度 | ◎ 爆速(一瞬で出力) | 4090の超絶パワー |
| 利用料金 | ✖️ トークン爆発で破産リスク | ◎ 完全無料(電気代のみ) | 今回の最大の目的 |
| 読込量(コンテキスト) | ◎ 数万文字のPDFも余裕 | ✖️ 長文はVRAMが死ぬ(OOM) | ローカル唯一の弱点 |
【結論】
賢さは変わりません。そのため、「短いやり取りを繰り返す会話」ならローカルが最強でタダです。しかし、数万文字の仕様書や過去ログを全部読ませるような重労働は、4090のVRAM(24GB)ではすぐに限界を迎えパンクするため、そこだけは素直にAPI(課金)を頼るべきなのです。
さらに、「ローカルマシン1台(グラボ1枚)で、どうやって『複数のエージェント』を同時に動かすの?」と思うかもしれません。
実は、AIの脳みそを3人分、別々にVRAMに読み込んでいるわけではありません。
1つの高速な脳(LLM)をポンと置き、OpenClawがその脳に対して「あなたはPMです」「次はあなたがデザイナーです」と瞬時に仮面(プロンプト)を被せ替えて、超高速で一人芝居をさせているのです。
この特性を理解した私は、ニヤリと笑いました。
「API代が1円もかからないローカル環境なら、何十回エージェント同士を会話させてもタダだ!」
私はさっそく「架空のプロジェクト会議」を立ち上げてみました。

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役割大渋滞、終わらない「論理的デッドロック」
私が召喚したのは、「PM脳」「エンジニア脳」「デザイナー脳」の3人のエージェント。
彼らに「新しいツールのプロトタイプを作る」という簡単なお題を与え、会議をスタートさせました。
彼らは感情的にブチギレて喧嘩をするわけではありません。ただ、「極めて理性的で丁寧なまま、己の役割(プロンプト)を絶対に譲らず、プロジェクトを完全停止させる」のです。
その恐ろしくシュールな「論理的デッドロック」の様子を、実際のSlack画面風に再現したログがこちらです。
「(めちゃくちゃ丁寧で理路整然としてるのに、全員が一歩も引かないから開始10秒でプロジェクトが詰んだ……!)」
彼らはただのテキスト生成AIのはずなのに、与えられた「役割(プロンプト)」に忠実すぎるあまり、見事なまでにIT企業あるあるの「地獄のポジショントーク(論理的デッドロック)」を繰り広げ始めたのです。
もしこれを、あの時給5万円のエリートコンサル(Claude)でやらせていたら、彼らが膠着状態に陥るたびに私のクレジットカードからチャリンチャリンとお金が猛烈に引き落とされていました。ローカルの「タダ働き脳」にしておいて本当に良かったと、心の底から安堵しました。
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番外編
今回、AIエージェントたちに「ポジショントーク」の検証をさせてみて、私はふと、あることを考えていました。
役割を与えられただけで、それぞれの立場からこれほど淀みなく、もっともらしい意見を出力できるAIたち。
彼らがこれからさらに進化し、デザインも、コードも、マネジメントもこなせるようになった時——我々「人間のクリエイター」は、どう生き残っていくべきなのか?
そこで番外編として、2名のクリエイターを召喚し、「AI時代のクリエイターの考え方」について、対談してもらいました。
内容は少し暗いかもしれませんが、とっても参考になると思うのでぜひ覗いてみてください。
(※音声が出ますのでご注意ください。イヤホンでのご視聴をおすすめします)
🎥 【短編動画】『AI時代のクリエイターの対談』
これにて、私の「养龙虾(ヤンロンシャー)日記」はいったん幕を閉じます。
この一週間正直、私がとっても勉強になって育てられた感じでした笑。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!🦞✨
編集後記
みぃにゃん
「ヤンロンシャー」日記、ついに完結ですね!奥様のRTX 4090を夜間にこっそり(?)タダ働きサーバーにしちゃう『二毛作エコシステム』、最高でした笑!
中野
トークン破産しかけてからのローカル移行への執念がすごいよな。欲張って70Bモデルを突っ込んで、グラボがジェット機みたいに火を噴きそうになるくだり、自作PC勢としては読んでて冷や汗が出たよ(笑)。
マキ
でも、そのおかげでAPI代ゼロ環境を構築して、エージェント同士の『論理的デッドロック』をタダで観察できたのは大きな収穫よね。PM、エンジニア、デザイナーが極めて丁寧にお互いの役割を譲らない地獄のポジショントーク……あれを課金制のClaudeでやってたらと思うとゾッとするわ。
みぃにゃん
本当ですよね〜。でも、そのクスッと笑える検証から一転して、最後の番外編動画……すごくエモくて引き込まれちゃいました。『筆の代わりに、言葉を尽くす』っていうクリエイターとしての覚悟、かっこよかったです。
マキ
ええ。ツールが便利になる一方で、自分のアイデンティティが削られていくような空虚感……それに真正面から向き合っていて胸に刺さったわ。……でも、ちょっと待って。
みぃにゃん
どうしました、マキさん?
マキ
あの動画に出てくる2人のクリエイター、左の絵描きの方と、右のAI推進役の方って……もしかして、、これはたん編集長ご自分自身の話、、ですか? 過去の自分と現在の自分との、心の内の対話……?
中野
なるほど……!だからあんなにセリフが生々しかったのか。だとしたら、最後の『そうだよね、相棒?』っていうのは、AIに向けてだけじゃなく、絵を描くことが好きだった『過去の自分』へのメッセージでもあったんだな。
みぃにゃん
なんだか泣けちゃいますね……。API代に怯えてグラボから爆音を出してた前半とのギャップがすごすぎます!AI時代にデザイナーとして生き残るための、編集長の血の通った決意表明。読者の皆さんにも、この熱量がきっと届くはずです!


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